京都府の多雪地におけるニホンジカ Cervus nippon Temminck によるハイイヌガヤ Cephalotaxus harringtonia var. nana の採食にみられる積雪の影響

  • 福田, 淳子
    京都大学大学院農学研究科森林科学専攻 (現在の所属 : 福岡県農林水産部森林保全課)
  • 高柳, 敦
    京都大学大学院農学研究科森林科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of snow cover on browsing of Cephalotaxus harringtonia var. nana by Cervus nippon Temminck in heavy snow region in central Japan
  • キョウトフ ノ タセツチ ニ オケル ニホンジカ Cervus nippon Temminck ニ ヨル ハイイヌガヤ Cephalotaxus harringtonia var nana ノ サイショク ニ ミラレル セキセツ ノ エイキョウ

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抄録

近畿地方の日本海側に位置する京都大学芦生フィールドステーションにおいて, ニホンジカ(Cervus nippon Temminck)の採食が常緑低木であるハイイヌガヤ(Cephalotaxus harringtonia var. nana)の生存に及ぼす影響と, 採食と積雪の関係を調べた.調査地内の87地点を5㎞に渡って踏査し.ハイイヌガヤの被度および分布を記録した.また, ハイイヌガヤ群落にコドラートを設け, 地上茎の生死と食痕の地上高および被食時期を記録した.調査地におけるハイイヌガヤの分布と被度は1984年以降の20年間で劇的に低下していた.調査対象とした地上茎には多数の食痕が観察され, 2000年から2004年の間にほとんどの地上茎が枯死した.枝葉は無雪期にも積雪期にも採食されていたが, 特に積雪期にニホンジカが通常採食できない高さの枝葉も採食されることが明らかになった.積雪期にハイイヌガヤが集中的に採食された原因は, 常緑低木であること, 地上茎が雪の重みでしなり低く下がっていたこと, 分布地が谷部で, 川沿いに移動するニホンジカの種雪期の行動ルートと重なっていたことだと考えられた.

特集 : ニホンジカの森林生態系へのインパクト: 芦生研究林

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 77 5-11, 2008-12-26

    京都大学フィールド科学教育研究センター森林生物圏部門

被引用文献 (1)*注記

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