<症例>外頸動脈系の塞栓が生じた内頸動脈閉塞の1例

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タイトル別名
  • <Case Report>A Case of Internal Carotid Artery Occlusion Complicating Embolization of the External Carotid Artery System

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説明

内頸動脈閉塞の経過観察中に外頸動脈を介して視力障害を呈した1例を経験したので報告する. 【症例】65歳, 女性. 14年前に左内頸動脈閉塞と右中大脳動脈狭窄を認め, 右側の浅側頭動脈中大脳動脈皮質枝吻合術(STA-MCA anastomosis)を受けた. 左視力障害が急速に進行した. 来院時にはほぼ失明に近い状態で, 眼科的には, 網膜中心動脈の閉塞であった. 左内頸動脈起始部閉塞部の stump に, ulcer を伴う atheromatous plaque があり, 外頸動脈系を介し, 網膜中心動脈へ embolism が生じたと診断された. Carotid endarterectomy と左側の STA-MCA anastomosis を施行し, 術後経過は順調であった. 内頸動脈閉塞例で, 外頸動脈, 総頸動脈, あるいは閉塞した内頸動脈起始部での stump あるいは cul-de-sac からの embolism により, amaurosis fugax や大脳半球の虚血症状が生ずることはよく認められているが, 失明かそれに近い状態になることは稀である. 軽度あるいは一過性の視力障害のうちに, 眼動脈系への embolic source を取り除けば, 高度の視力障害は未然に防ぐことができると考えられる.

収録刊行物

  • 日本外科宝函

    日本外科宝函 66 (2), 51-58, 1997-05-01

    京都大学医学部外科整形外科学教室内 日本外科宝函編集室

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