イザベラ・バードのUnbeaten Tracks in Japanにおける「未踏」の二重の意味
書誌事項
- タイトル別名
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- The Double Meaning of “Unbeaten”in Unbeaten Tracks in Japan by Isabella L. Bird
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説明
1878年に日本を訪れたイザベラ・バードの日本旅行記であるUnbeaten Tracks in Japanには、彼 女の旅した地域で見聞した光景や人々の描写の他にキリスト教伝道に関する記載が多い。青森県黒 石に到達した時、彼女は旅の途上目にした数え切れない異教徒の民を救えるのかという伝道に関す る悩みを書き綴っていた。 しかし、そののちの記述では、この日本旅行の頃は、伝道の問題には関心がなく、可能な限り伝 道拠点を避けていたという。本稿ではこの2つの記述の矛盾点を問題として取り上げ、Unbeaten Tracks in Japanの記述に照らし合わせ実際はどうであったのかを検討した。 さらにこの旅行記の題名としてつけられ、また本文ではすべて括弧付きで用いられた“unbeaten tracks”=「未踏路」を“beaten tracks”=「既踏路」と対照させながら、「括弧付きの“unbeaten Tracks”」としてその意味を考察した。 イザベラ・バードが「未踏路」にあって記した伝道への想いとその行動を検討することにより両 者の間には密接な関係があったことがわかった。またこの作業を通して日本旅行記の表題となった “unbeaten tracks”は、「他 ひ 人と の行かない未踏」と「伝道の未踏」の2重の意味を有するということが わかった。 これらのことから、日本においては、『日本奥地紀行』のいわば「民俗学的」なエキゾティック な日本の紹介者としてのイメージが強かったイザベラ像に対して、海外伝道に深い関心を抱くキリ スト教徒としてのイザベラ・バードの一面を示すことができたと考える。
収録刊行物
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- 弘前大学大学院地域社会研究科年報
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弘前大学大学院地域社会研究科年報 (3), 3-33, 2006-12-28
弘前大学大学院地域社会研究科
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282811146473600
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- NII論文ID
- 120001041266
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- NII書誌ID
- AA12016218
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- ISSN
- 13498282
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- HANDLE
- 10129/1134
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles