金融政策の政策目標と運営目標(田村茂教授退任記念号)

書誌事項

タイトル別名
  • キンユウ セイサク ノ セイサク モクヒョウ ト ウンエイ モクヒョウ
  • Policy Objectives and Operating Targets of Monetary Policy(InHonour of Professor Shigeru Tamura)

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抄録

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本稿の目的は,変動相場制移行後の日本銀行の政策目標と運営目標および政策手段との関係を歴史的に整理するとともに,反応関数の理論的・実証的分析を適用して,日本銀行の政策形成プロセスを客観的に明らかにすることである。当局の政策行動は如何なるフィードバック・ルールに依拠してきたか,またそれから独立の「裁量的政策」はどの程度実施されてきたのかを,実証的に分析する。それにより,当局の実際の政策行動が,その主観的見解や公式声明に果たして沿ったものであったか否か,また政策形成プロセスが有効であったか否かの評価が可能となる。反応関数はコールレート,公定歩合,M1増加率,M2増加率,都銀貸出増加率などの広義政策手段を被説明変数とし,名目GNP成長率,卸売物価上昇率,経常収支変化率,為替相場変化率,有効求人倍率などの政策目標変数を説明変数とする。そして政策形成過程での認知ラグや実施ラグおよび波及ラグを考慮しながら,ラグなしモデル,コイック・ラグ・モデル,アーモン・ラグ・モデルを定式化し,安定成長移行期,安定成長期,バブル期および全期間において,OLSとGLSを用いて計測した。その結果,構造変化に見合った期間分割とラグ構造の適切な把握をすれば,反応関数の計測精度は極めて高くなり,日銀は暗黙のフィードバック・ルールに従って政策目標の変動にかなり内生的に反応していたことが判明した。よって外生的裁量政策の部分は実は非常に少なかったといえる。

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 37 (1), 87-108, 1994-04

    東京 : 慶応義塾大学商学会

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