ドイツにおけるベンチャー企業と資本市場問題

書誌事項

タイトル別名
  • ドイツ ニオケル ベンチャー キギョウ ト シホン シジョウ モンダイ
  • Doitsu niokeru bencha kigyo to shihon shijo mondai
  • Capital markets for innovative firms in Germany

この論文をさがす

説明

type:text

1990年代のドイツでは他の先進国に比べ,ベンチャー・キャピタル市場が拡大せず,イノベーション分野への長期的なリスク資本の供給が不十分であった。ハウスバンク制度に代表される相対型間接金融を主体としたドイツ金融システムにおいては,ベンチャー企業向けの資本市場が整わず,ベンチャー・キャピタルは投資先企業を国内で上場させ投資回収を図るのが困難であった。したがって,1997年に創設された成長企業向け株式市場ノイアマルクトは大いに期待されたのである。だが,厳格な透明性基準を設けるなどして成長企業の持つ高いリスクへの対応を試みたにも拘らず,世界的なIT バブル崩壊後の株価低迷に連動して,同市場は抜本的な取引所の再編に包摂されることを余儀なくされた。ベンチャー企業が資本市場を利用する場合は,なお幾多の深刻な問題に直面せざるを得ないのが現実である。本稿では,ドイツのノイアマルクトに上場した成長企業を分析の対象とし,ドイツで行われたベンチャー企業育成に向けた取引所改革の議論を踏まえ,特に2005年10月に導入されたエントリー・スタンダードなどに見られる戦略転換も検討する。

赤川元章教授退任記念号

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 49 (6), 231-248, 2007-01

    慶應義塾大学出版会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ