過年度財務諸表の遡及修正

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  • カネンド ザイム ショヒョウ ノ ソキュウ シュウセイ
  • Kanendo zaimu shohyo no sokyu shusei
  • Retrospective adjustments to prior periods' financial statements

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財務諸表がその利用者にとって有用であるために必要な条件の一つに比較可能性がある。財務諸表の作成者は,会計取引又はその他の事象に適用する会計基準が複数存在するときには,財務内容を最も適切に表現することのできる会計基準を選択することが求められている。また,会計基準が新規に設定されたり,企業が自主的に会計方針の変更を必要とする状況になった場合には,当該会計年度に会計処理を変更する。他方,財務諸表の利用者は,企業価値の評価,すなわち企業の将来キャッシュ・フローを予測するために財務諸表を利用している。最近は財務諸表の利用者のために財務データ自体をXBRL化することによって,企業の財務諸表データから必要なデータを抽出したり,時系列に加工して,様々な分析が人手をなるべく介さずに実現するよう各国が取り組んでいる。時系列での財政状態及び経営成績並びにキャッシュ・フローのトレンドを把握する上では,新たな会計基準の適用や会計方針の自主的な変更による時系列データの不連続性は,大きなネックとなるはずである。このネックを取り除くためには,変更等の行われた年度の財務諸表のみならず過年度の財務諸表にも新たな会計基準や会計方針を適用した比較数値を使う必要がある。しかしながら,現行のわが国の会計基準のもとでは,当期に正当な理由により会計方針が変更されても過年度財務諸表を遡及して修正することは認められていない。これに対して国際的な会計基準では,会計方針の変更のうちある種の変更はすでに確定している過年度財務諸表に遡及して修正することを要求している。本稿では,過年度財務諸表の遡及修正の必要性を(i)新たな会計基準の設定,(ii)企業の自主的な会計方針の変更及び(iii)誤謬の訂正に分けて論じている。

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty 50周年記念論文

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