流動資産・固定資産分類学説の総合的検討 : 論証の欠如(1)

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前々号までにおいて,森田理論の対象理論上の問題点を検討してきたので,最後に,メタ理論の視点から,論証の欠如という森田理論の特質を取り上げよう。もちろん,この論証の欠如というのは,対象理論の中に顕現化しているのであるから,これまでの対象理論上の検討と重複するが,纏めを兼ねて,繰り返すことにしたい。 論証の欠如としては,具体的には,森田理論の全体的特質の問題,および理論構築の在り方の問題の2点を取り上げよう。後者は次号で取扱うとして,ここでは,前者を検討する。 森田理論には,森田旧論と森田新論という二者が識別できるが,そのそれぞれは,どのような特質を帯びているのであろうか。そして,その妥当性が,何らかの形で論証されているのであろうか。 まず森田旧論の特質であるが,森田旧論は,どうして森田新論に移行しなければならなかったのであろうか。この点を合理的に説明するためには,森田旧論の特質を明らかにしなければならないと思われるが,この移行の原因について,まったく説明されていないのである。 森田新論について言えば,そこでは,利潤を産出する財について,原価評価のみならず時価評価も認められているのであるが,それにもかかわらず,森田旧論と同様に,取得原価主義会計論に属していると主張されている。しかし,単に,そうした主張が,いわばトートロジカルになされているだけであり,そのことの合理性は,まったく論証されていないのである。 本号では,その2点を検討することとしたい。

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