ラテンアメリカ文学におけるエッセイ : 『アリエル』をめぐって

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タイトル別名
  • The Essay in the Latin American Literature : Concerning Ariel
  • ラテンアメリカ ブンガク ニ オケル エッセイ アリエル オ メグッテ

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説明

はじめに  ホセ・エンリケ・ロドーの主著『アリエル』は,1900年の出版以来,植民地後のラテンアメリカ諸国の文化的アイデンティティを巡る議論の場に,常に大きな影響を及ぼしてきた。本稿では,この作品のジャンルとされてきた「エッセイ」の持つ特徴と,エッセイがラテンアメリカ文学において担ってきた機能に着目することにより,『アリエル』の思想とその形式の密接な関係のなかに,この作品が維持してきた文化的影響力の原因を探った。 1.「エッセイ」というジャンル 2.『アリエル』の言語と構造 3.『アリエル』の思想 おわりに  『アリエル』は,幾重にも張り巡らされた「文学化」の手法と,統一性や連続性を拒み結論を引き出さない思想の織り成すタペストリーの組み合わせによって,エッセイというジャンルにきわめてふさわしい文学的=思想的な作品となっている。ラテンアメリカ文学におけるエッセイは,ロドーの時代からボルヘスにいたるまで,主観と客観をあわせもつ思想の文学として,自己と場所との有効な同一化の関係を模索し,発展させてきたのである。

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