『守貞謾稿』巻之八「貨幣」に見る幕末期の町人意識と経済実態

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  • Merchant consciousness and economic reality in the late Edo Period as seen in“ Morisada-mankou”

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抄録

『守貞謾稿』は、喜田川守貞が江戸末期の風俗や事物について書いた一種の類書であり、当代一級の資料とされる。本稿では、本書巻之八「貨幣」に拠り、喜田川守貞という一般町人の目線を通して、町人意識や貨幣経済の実態の探求を試みた。  第一に、本書の引用文献について検討した。そして、新井白石『寳貨通用事略』、太宰春台『経済録』、及び朽木昌綱『和漢古今泉貨鑑』の三書は引用文献に含まれると結論づけた。  第二に、執筆に至らしめた環境・人的影響について検討した。そして、懐徳堂をはじめとする大坂の学問環境、砂糖国産化に名を残す池上幸豊の国益思想の影響、および、国学考証派の随筆家 山崎美成の影響、の三つの可能性が考えられるとの結論に至った。  最後に、江戸では幕府が決めた公定相場である「御定相場」が用いられており、このことが融通の阻害要因であると守貞が主張している点について検討した。そして、あくまで仮説であり今後検証が必要であるが、江戸の武士や町人においては公定相場が用いられ、公定相場の影響力は相応に大きかった可能性があることについて述べた。

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