福永晴帆研究 - 研究成果を鑑賞教育へ展開する方策について -

書誌事項

タイトル別名
  • A study of Fukunaga Seihan's technical background - A project to educational activities -
  • フクナガセイハン ケンキュウ - ケンキュウ セイカ オ カンショウ キョウイク エ テンカイ スル ホウサク ニ ツイテ -

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抄録

本稿は,平成23-25 年度科研費研究「福永晴帆研究」の研究成果を基に,筆者が事業代表者として進めた平成23-25 年度文部科学省概算要求特別経費プロジェクト「実技教育支援コーディネーターの養成と配置効果の科学的検証」における小学校教育現場での実践的な研究成果の知見を融合する ことで,地域の文化財を活用した小・中学校での鑑賞教育という具体的な形で,専門的分野の研究成果を社会に還元する仕組みが構築できると仮定し,『福永晴帆日本画展』での実践と検証を通して考察した内容をまとめたものである。 科研費研究では,明治から昭和にかけて活躍した日本画家:福永晴帆について,その画業や画歴を明らかにするとともに,宗像大社儀式殿襖絵の保存修復と展覧会の開催を目的とした,日本近代美術史ならびに日本画の伝統的な技法研究,さらに作品の保存修復に関する専門的な研究を進めた。 概算要求事業では,小学校図画工作科の指導に苦手意識を持つ教員のネガティブな潜在的カリキュラム1)を改善し,図工科本来の授業内容をより豊かに児童に提供することを目的として,福岡教育大学独自の専科教育制度を実践的に検証することで,制度の導入に係る学校現場の諸問題を明らかにし て,実現性の高い制度の確立を目指した。またこの事業にも関連して,美術教育講座では「体感型鑑賞教育」と題して,体験することを重視した移動美術館事業を展開しており,小・中学校での実践を重ねている。 そこで,これらの複合的視座から研究成果をまとめ,研究成果の活用・発信方法について考察を深めることで,専門的分野の研究成果を社会に還元する仕組みを教育現場に構築できると考えた。また,教育現場ではタブレット端末等のICT 機器を用いた学習が拡大傾向にあるが,ICT 機器を有効に活用する図工科・美術科の鑑賞教育に関する研究事例はいまだ少ない。これらの課題を解決しつつ,地域の文化財を活用した鑑賞教育について具体的な実践と提案をおこなうことを目的として,文化財の高精細データ化を進めるなど,本格的な実践的研究に向けた準備を開始した。 本稿では,『福永晴帆日本画展』でのパネル作成や,高精細データを活用した再現文化財(レプリカ)製作に関する教育学的な試行を中心に,未来の鑑賞教育の可能性について考察した。

福岡教育大学紀要. 第五分冊, 芸術・保健体育・家政科編

Bulletin of Fukuoka University of Education. Part V, Art, health and physical education, and home economics

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