日本統治時代の台湾における日本語教育 : グアン氏言語教授法に関連して

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書誌事項

タイトル別名
  • Language education in Taiwan during the Japanese colonical period : The Gouin method of teaching
  • ニホン トウチ ジダイ ノ タイワン ニオケル ニホンゴ キョウイク : グアン シ ゲンゴ キョウジュ ホウ ニ カンレン シテ

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説明

本稿は日本統治期台湾の公立学校に取り入れられたグアン氏言語教授法(以下グアン法と略称)の理論と方法を史料に基づいた分析で検証し、漢字漢文と台湾語を媒介語とする対訳法に対する検討とともに台湾の日本語教育史におけるその位置づけを考察したものである。グアン法は、フランス人のフランソワ・グアンが自らのドイツ語学習に失敗した経験から考察した自然教授法の一つである。外国語の習得においては幼児が母語を習得するのと同じように自然な過程に従い、口と耳による音声言語の側面を重視し、母語への翻訳を行わないというのが理論的根拠であり、時間的に継起する一連の動作を分解して動詞の取り替えを中心とする句や文を記憶させるというのが方法である。1898年公学校が成立した後、初等教育における生徒数の拡大に伴い、いかに効率よく日本語を教えるかが日本語教育の中心問題となった。これを背景に組織された国語教授研究会における教授方法に対する討議の中、橋本武が国語学校の図書館からグアンの『言語教授及び研究法』を発見し教師らに紹介したことをきっかけに、グアン法は日本語教育に採用されるようになった。その後、山口喜一郎による実践の成績が認められ、総督府からは『ゴアン氏言語教授方案』と『台湾公学校教授要旨』が出版され、公学校におけるグアン法による日本語教育が推し進められた。(以下、略)

収録刊行物

  • 東アジア研究

    東アジア研究 9 41-54, 2011-03

    山口大学大学院東アジア研究科

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