福島第一原子力発電所の事故由来の放射性セシウムのクリ(Castanea crenata)の樹皮から樹幹流への移行

書誌事項

タイトル別名
  • The Transfer of radiocesium from the bark to the stemflow of chestnut trees (Castanea crenata) contaminated by radionuclides from the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident

抄録

福島の森林に生育する栗の木から樹幹流中への放射性セシウムの移行について報告する。事故当時に存在していた木の樹皮表面には、放射性セシウムは不均一かつスポット状に分布していた。事故後に生じた新枝にはほぼ均一に存在していた。放射性セシウム濃度は、幹(直径2cm)、枝(直径5mm以下)、葉の順に低くなった。また、幹(直径2cm)においては、樹皮は、木部の約10倍の放射性セシウム濃度であった。樹幹流の溶存画分(0.45$\mu$m以下)試験期間中のCs-137濃度は平均約10Bq/Lであり、pHは5.8でほぼ一定であった。樹幹流の溶存画分の電気伝導率は放射性セシウム濃度と強い正の相関がみられたことから、樹幹流中の電解質と放射性セシウムは同じ溶出機構であることが示唆された。樹幹流中の粒子画分(0.45$\mu$m以上)の一部に放射性セシウムが強く付着している粒子が存在することが示された。

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