牛乳の殺菌温度によるアレルゲンの比較

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  • Effect of Pasteurization Temperature on Allergen Formation in Milk
  • ギュウニュウ ノ サッキン オンド ニヨル アレルゲン ノ ヒカク

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type:P(論文)

近年アレルギー疾患が増加する傾向にあり,アレルギー患者は国民の3分の1という高率になるという。そこで食物アレルゲンの一つである牛乳を対象として,牛乳の殺菌温度別アレルゲン性を測定し,アレルギー発症との関係について動物実験により比較検討を行った。抗原として低温殺菌牛乳(63℃30分),超高温殺菌牛乳(130℃2秒)および煮沸乳(100℃20分)を用い,マウス,ラットの腹腔内に注射し感作させた。アレルギー反応の確認はマウス血清IgE抗体値の測定と,ラット平滑筋のSchultz-Dale反応による抗原体反応によって確認した。その結果,低温殺菌乳に比べ超高温殺菌乳のマウス血清IgE抗体含有率の方が有意に高いことが分かった(P<0.05)。超高温殺菌乳と煮沸乳のIgE平均含有率の間には有意差は認められなかったが,高温で加熱時間の長いほどIgE値の高くなる傾向がみられた。一方,ラットによるSchultz-Dale反応でも低温殺菌乳では平滑筋の収縮は見られなかったが,超高温殺菌乳と煮沸乳では1分以内に著しい筋肉の収縮が認められた。これらのことより低温殺菌乳は,超高温殺菌乳に比較してアレルゲン性が弱く,加熱温度の高くなるほどアレルゲン量が増加し,アレルギー発症の原因になりやすいのではないかと考えられる。

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