メキシコ低地マヤ地域におけるカトリック的宗教文化統合の実証的研究 -マヤ・ユカテカの一カトリック村落マニの時間感覚分析のための序論的考察(2)

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タイトル別名
  • A Study of Catholic Culture Integration of Lowland Maya Communities in Mexico-An Introductory Study of Experimental Methods for Analysis of Time perception at the Individual Level of a Mayayucatecan Catholic Community, Mani(2)-

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抄録

この小論は、マヤ・ユカテカ社会を時間の視座から分析することを目的とする。人間の思考と行動に根底から影響をおよぼす時間の分析は集団と個人の両面から分析することが望ましい。これまでマヤ・カトリック社会の時間感覚を集団の断面から分析してきた。聖堂や十字架の歴史と構造、祈りの内容、擬制的親子関係、マヤ儀礼慣習、共有地、などが分析の主な対象である。本小論では、質問紙(質問大項目2項目)、有意味カード(6枚)とTAT型の有意味写真(2枚)を使用して、時間感覚分析モデルおよび作業仮説にもとづいて個人の断面で時間感覚を分析した。主な分析結果は次のとおりである。マニのカトリックは自己把握、太鼓の神話的事実の現実化、「小さな時間(この世の日常的な時間)」における「大きな時間(キリストの誕生および死ならびにこの世の始まりと終わりなどを含む時間)」の再現(representation)と再融合(reintegration)などの場面で宗教的な理念や教えによる内調整(inner adjustment)を行っている。また、「聖母マリアと幼子イエス」と「イエス・キリストの磔刑」の写真への反応は、宗教が象徴を通じてその太古性を何千年という巨大な時間のなかで持続させてきていること、聖母マリアおよびイエスに関するきわめて古い知識と宗教的な教えが、時間の経過とともにマニのカトリックの内面に深く定着し、人々の暮らしのすべての面にさまざまな意味を与え続けていることを示している。

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