タイのAedes (ヤブカ)属蚊の殺虫剤感受性の現状

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  • Present status of the insecticide susceptibility of Aedes mosquitoes in Thailand

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抄録

デング熱の伝播を止めるのに現在使われている方法は、流行地域に殺虫剤を噴霧することである。そのような場合、媒介昆虫の殺虫剤感受性についての情報があれば、適切な殺虫剤を散布できるであろう。このことは対策プログラムの重要な要素でもある。そこで、WHO 感受性評価キットを使って、ネッタイシマカAedes aegypti とヒトスジシマカAe.albopictus の殺虫剤に対する感受性を調べた。2008 年から2010 年にかけて、バンコク、Phra Nakhon Si Ayutthaya(プラ・ナコーン・シー・アユタヤー)、Chantha Buri(チャンタブリー)、Prachin Buri(プラチンブリー)で採集し、実験室で飼育した蚊の成虫または幼虫に、WHO が推奨している識別判定が可能な投与量の殺虫剤に1 時間暴露させ、24時間後の死亡率を調べた。おおむね、ネッタイシマカはマラチオンを除く全ての殺虫剤に対して耐性あるいは抵抗性を示した。殺虫剤抵抗性の程度は、バンコク、プラ・ナコーン・シー・アユタヤー、プラチンブリー、チャンタブリーで、それぞれ高いレベルから低いレベルまで分布していた。バンコクのBang Khae(バンケー)区およびThung Khru(トゥンクル)区では、殺虫剤に対する抵抗性が毎年増してきていた。ピレスロイド抵抗性と関係があるノックダウン型抵抗性(kdr)型抵抗性が、ネッタイシマカで観察された。一方、プラチンブリー、バンコク、Phang-nga(パンガー)から採集したヒトスジシマカは、DDT に対して耐性を示した。しかし、ピレスロイドあるいはマラチオンに対して耐性/ 抵抗性を示したヒトスジシマカはいなかった。

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