植木枝盛憲法案の防衛構想に関する考察

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タイトル別名
  • ウエキ エモリ ケンポウアン ノ ボウエイ コウソウ ニ カンスル コウサツ
  • ウエキ エオリ ケンポウ ホウアン ノ ボウエイ コウソウ ニ カンスル コウサツ
  • Consideration of the Defense Plan of Emori Ueki's Constitution Draft

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抄録

自由民権最高の理論家である植木枝盛が起草した「日本國々」は,今日,多数の私擬憲法の中で最も民主的なものであり,また日本国憲法にも大きな影響を与えたものとして,高く評価されている.しかしそれは,もっぱら平時における人権(保障)条項,国民(人民)主権条項等に対してなされている評価であって,そのほかの条項に関しては必ずしも十分な分析や掘り下げがおこなわれているとはいい難い.このような研究状況をふまえ,本小論ではこれまで諸学界でほとんど取り上げられてこなかった同の国防・軍事条項を平和研究の視点から検討し,そこから客観的に導き出される防衛構想とその問題点を明らかにすると共に,同構想が日本国憲法の安全保障方式と対比して,どのような特色を有し,どのように評価されるのかを考察した.その結果,一部に独自の特色がみられるとはいえ,人権保障や国民主権の徹底性,絶対性とは異なって,同の防衛構想には侵略を容認するかの如き規定をはじめ,皇帝の軍事大権,緊急権および州の軍事権限等の諸規定に重大な問題点がみられ,そのためきわめて低い評価しか与えられないことが明確となった.

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