新しい社会的市場経済とは何か : キリスト教民主同盟の党綱領からの考察

書誌事項

タイトル別名
  • アタラシイ シャカイテキ シジョウ ケイザイ トワ ナニ カ : キリストキョウ ミンシュ ドウメイ ノ トウ コウリョウ カラ ノ コウサツ
  • アタラシイ シャカイテキ シジョウ ケイザイ トワ ナニ カ : キリストキョウ ミンシュ ドウメイ ノ トウモウリョウ カラノ コウサツ
  • What does the New Social Market Economy Mean? : A Study on the Concept from the Viewpoint of Political Program of Christian Democratic Union

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抄録

本稿では,1990年代以降における「新しい社会的市場経済」の概念とは何かという論点について,社会的市場経済の理念を戦後一貫して政策綱領に採用してきたキリスト教民主同盟(CDU)の現代におけるいくつかの党綱領の記述を分析することによって検討される。分析結果として,「新しい社会的市場経済」の概念は,この理念が本来的に有するリベラルな要素を再び前面に引き出し,社会的安全面での改革の必要性を認めた上で,個人の自由と社会的公正・安全との望ましいバランスへとリベラルな方向性での修正を行おうとする考え方を総称するものであると結論づけられる。また,この概念が1990年代以降に政治的に主張された背景には,グローバリゼーションや人口動態の構造変化,個人のライフスタイルや価値観の変化といった,現代ドイツ社会における諸問題があることが指摘される。すなわち,これまでに構築してきた社会国家の諸制度が,財政面ですでに大きな負担となっている上に,グローバリゼーションという国際的な挑戦の下で社会国家の改革の必要性がとくに強まったことと関連するものといえる。

収録刊行物

  • 自然人間社会

    自然人間社会 55 29-60, 2013-07

    関東学院大学経済学部教養学会

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