互酬性と社会的交換理論

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タイトル別名
  • Reciprocity and the Social Exchange Theory
  • ゴシュウセイ ト シャカイテキ コウカン リロン

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個人あるいは集団間のモノや,やり取りに着目したマリノフスキーは,クラ交易によって当事者間に連帯が生み出され,社会が統合されるという交換論を提起した。人類学の交換論を代表するものに,贈与と反対贈与からなる「互酬性(reciprocity)」を理論化したモースの『贈与論』がある。レヴィ=ストロースはこの贈与論の互酬性の構造面に焦点をあて,「贈与=交換」の一般的交換理論へと発展させた。しかし,1980 年代後半になると従来の社会的交換理論を批判的に再検討する論者が登場し,ゴドリエやワイナーは,未開社会の単なる交換論に還元されない贈与論の持つ現代性を次々と発見していった。 本研究の目的は,社会的交換論の地平を広く「経済的なもの」として,社会的文脈のなかで拡張するために,各分野の社会的交換理論を比較検討し,贈与交換,再分配,等価交換などの概念と互酬システムをめぐる説明モデルの内容や有効性を検証することである。また,近年,再評価の進みつつあるモース贈与論の現代性をみることで,贈与の次元が切り開く社会形成のアルカイックな層位の可能性についても検討を加えた(1)。

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