『源氏物語』にみる「梅壺」
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『源氏物語』にみられるさまざまな後宮の殿舎は,単に宮廷の風景としてあるのではなく,物語世界独自の場として描かれている。そのうち,淑景舎=桐壼,飛香舎=藤壺については,これまでに考察を試みた。本稿では,それらをふまえて,凝華舎=梅壺の場合について検討してみる。凝華舎は,物語中では「梅壺」と表されている。物語にみられる「梅壺」には,弘徽殿大后の局,梅壺女御という呼称から明らかになるその居所,明石中宮腹の二の宮の御曹司という,三つの場がある。それらの描写は,一見,唐突に出てくるように感じられるが,『源氏物語』の殿舎の使われ方を思い起こしても,やはり物語の側の要請から,描かれるとみる方が自然であろう。前編前々稿で検討してきたように,史実における後宮の殿舎は,男性たちにも使用される場である。凝華舎は東宮と関わりが深く,儀式の場ともなる。一方,「梅壺女御」と呼ばれた詮子の存在感も強く漂う場であった。そうした史実からのイメージを見据えつつ,物語世界の人々が実際に住んだ場であることを考えてみると,物語世界の梅壼も,それぞれの人物たちをとりまく縁により所有され,政権にも見合う場として想定されていると考えられる。
Journal
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- JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE
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JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE (36), 75-91, 2003-03
跡見学園女子大学
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050282812796774528
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- NII Article ID
- 10018680953
- 110000041274
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- NII Book ID
- AA11839735
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- ISSN
- 13481444
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- NDL BIB ID
- 6737177
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- CiNii Articles