万国博覧会とデパート : 産業社会の博物学から消費社会の記号へ

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タイトル別名
  • 万国博覧会とデパート : 産業社会の博物学から消費社会の記号ヘ
  • バンコク ハクランカイ ト デパート : サンギョウ シャカイ ノ ハクブツガク カラ ショウヒ シャカイ ノ キゴウ ヘ
  • World Exhibitions and Department Stores : Signs of Transition from Industrial Society to Consumer Society

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抄録

19世紀後半から20世紀初めごろに一つの特異な消費スタイルを生み出した近代のデパートの誕生は、万国博覧会が盛んに開催された時期に重なっている。本論は、万国博覧会とデパートとを交差させて検討することで、それぞれの事象の意義を従来の歴史研究的記述とは異なった角度から読み取ろうとする試みである。万国博覧会とデパートは消費社会の出現を示す重要な記号であり、近代社会のその他の複数の特性とも絡み合っている。1851年の万国博覧会の主催者の意図は、国際的な統合の場を創造すると同時に、産業社会の博物学的秩序付けを目指すものであったが、主催者の意図とは別に、結果として万国博覧会が到来しつつあった消費社会の特性-非機能性に向かい、必要ではなく欲望が動力となる社会、貨幣による階級の無効化と、新しい差異化の創造-を先行的に表していたことを示す。そしてその特性を前景化し、博覧会を日常化したのがデパートであった。両者はともに既存の社会階級やジェンダー規定の境界線を無効化しながら一方で、帝国主義の口実や消費の微妙な差異によるランク付けなどを通して別の境界設定をする現象であったことを示そうとするのが本論の主旨である。

収録刊行物

  • 環境創造

    環境創造 17 75-95, 2013-03-31

    東京 : 大東文化大学環境創造学会

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