記憶と文化遺産のあいだ : 三池炭鉱の産業遺産化をめぐって

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  • キオク ト ブンカ イサン ノ アイダ : ミイケ タンコウ ノ サンギョウ イサンカ オ メグッテ

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type:論文(Article)

現在、九州各地の自治体が連携し、炭鉱や製鉄工場、造船所など明治以降の日本の工業化・近代化を担った産業遺産群を一括して世界遺産にしようとする運動が展開されている。この運動の過程で、対象の文化的価値を明確にするために新たな価値づけがなされ、個々の産業遺産にまつわる歴史も、ナショナルな、あるいはグローバルな観点から再構成される。このような遺産化の試みにたいして、それらの施設における労働の記憶や、それと関連するさまざまな苦難の記憶を持つ地元の人々の反応は多様である。本稿では、まず、九州の遺産群がどのような新しい物語のもとで、どのように過去の再構成と価値づけがなされているかを、遺産化を担う関係者の各種文書資料を中心に分析し、つづいて三池炭鉱を例として取り上げ、産業辿産となった場所で生きてきた人々が、その場所にたいしてどのような記憶を持ち、遺産化にたいしてどのような意識を抱いているかを、現地調査のデータをもとに見てゆくことによって、記憶と文化遺産とがどのように関係するかを論じる。

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