Tocilizumab(TCZ)使用前後の末梢血トランスクリプトームの変化とTCZ使用中に多彩な皮膚病変をきたした一例
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抄録
Tocilizumab(TCZ)(IL-6阻害薬)による皮疹の副作用については、あまり注目されてこなかった。今回我々はTCZ使用と、重篤な皮膚病変の出現との関連を強く疑わせる症例を経験した。症例は59歳男性、関節リウマチ(RA)に対し、TCZを開始した。その後皮疹が出現し始め、白血球破砕性血管炎の診断に至った。中等量PSL併用後も新たに好中球性皮膚症を発症し、ジアフェニルスルホン(DDS)を追加し寛解していたが、これら薬剤の減量中に再燃し重症化した。ステロイドパルス+高用量PSLを開始したが、右足背の皮疹が増悪し皮膚潰瘍形成に至った。最終的にTCZ関与の可能性を考慮し、TCZ投与は中止した。TCZ投与による皮膚病変増悪のメカニズムは未だ知られていない。我々はTCZ使用が皮膚病変発生にどのように関与し得るかを探索する目的で、TCZを使用したRA患者10例について、使用前後の末梢血遺伝子発現の変化を解析した。有意に発現変化を認めた遺伝子について遺伝子オントロジー解析を行ったところ、TCZ使用により好中球活性化遺伝子が有意に亢進し、創傷治癒に関連する遺伝子は有意に抑制されている事が判明した。(著者抄録)
収録刊行物
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- 岡山赤十字病院医学雑誌
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岡山赤十字病院医学雑誌 29 48-57, 2018-11
岡山赤十字病院
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282813014792832
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- NII論文ID
- 120006585762
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- ISSN
- 09158073
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles