書誌事項
- タイトル別名
-
- Issues Related to the Introduction of Foreign Technology in Lock Manufacturing and Brass Production during the Transition from the Medieval to the Early Modern Period
- ナカ ・ キンセイ イコウキ ノ セジョウグ ト シンチュウセイサン ニ ミル ガイライ ギジュツ ドウニュウ オ メグル ショ モンダイ
この論文をさがす
説明
中世から近世への移行期の対外交易は,南蛮貿易から朱印船貿易へと段階的に変遷し,この間,東洋と西洋の接触と融合を経て,様々な外来技術がもたらされた。当該期の外来技術の受容,定着には複雑で多様な様相が認められる。本稿ではこうした様相の一端の把握,検討にあたり,錠前,真鍮生産に着目した。錠前に関しては,第2次導入期である中世末期から近世の様態について整理し,アジア型錠前主体の段階からヨーロッパ型錠前が参入する段階への変遷を明らかにした。さらにアジア型鍵形態の画一化や,素材のひとつである黄銅(真鍮)の亜鉛含有率の低い製品の存在等から,比較的早い段階での国内生産の可能性を指摘した。真鍮生産については,金属製錬などの際に気体で得られる亜鉛の性質から特殊な道具と技術が必要であり,これに伴うと考えられる把手付坩堝と蓋の集成を行い技術導入時期の検討を行った。その結果,16世紀前半にすでに局所的な導入は認められるが,限定的ながら一般化するのは16世紀末から17世紀初頭であり,金属混合法による本格的な操業は今のところ17世紀中頃を待たなければならない状況を確認した。また,ヨーロッパ型錠前の技術導入について,17世紀以降に国内で生産される和錠や近世遺跡から出土する錠の外観はヨーロッパ錠を模倣するが,内部構造と施錠原理はアジア型錠と同じであり,ヨーロッパ型錠の構造原理が採用されていない点に多様な技術受容のひとつのスタイルを見出した。こうした点を踏まえ,16世紀末における日本文化と西洋文化の融合の象徴ともいえる南蛮様式の輸出用漆器に注目し,付属する真鍮製などのヨーロッパ型の施錠具や隅金具等の生産と遺跡出土の錠前,真鍮生産の状況との関係性を考察した。現状では当該期の大規模かつ広範にわたる生産様相は今のところ認め難く,遺跡資料にみる技術の定着・完成時期と,初期輸出用漆器の生産ピーク時期とは整合していないという課題を提示した。
収録刊行物
-
- 国立歴史民俗博物館研究報告
-
国立歴史民俗博物館研究報告 210 123-152, 2018-03-30
国立歴史民俗博物館
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390023229739375104
-
- NII論文ID
- 120006595835
-
- NII書誌ID
- AN00377607
-
- NDL書誌ID
- 029033382
-
- ISSN
- 02867400
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- departmental bulletin paper
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可