「リトルロックに関する考察」再考 --アメリカ黒人の文化的伝統に対するアーレントの理解と誤解--

  • 大形, 綾
    京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Rethinking "Reflection on Little Rock" --What Arendt Understood and Misunderstood on the Cultural Tradition of African Americans--
  • 「 リトルロック ニ カンスル コウサツ 」 サイコウ : アメリカ コクジン ノ ブンカテキ デントウ ニ タイスル アーレント ノ リカイ ト ゴカイ

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説明

本論文は, ハンナ・アーレントの「リトルロックに関する考察」の分析を通して, 1957年の「リトルロック事件」に対する, 彼女の理解と誤解を論ずるものである. これまで多くの研究者たちが「リトルロックに関する考察」を様々に解釈してきた. ある者はアーレントの偏見を, ある者は彼女のドイツ・ユダヤ人としての経験を, ある者は彼女の共和主義思想を記事の中に読みとっている. 本論文では, 歴史史料を用いてアーレントの記事の再考察を試みる. まず, アーレントが目にしたリトルロックの写真と記事を特定し, 当時の公民権運動をめぐる状況に対して, 彼女がどのような誤解を抱いていたのかを解明する. 次に, アーレントの考察の出発点を理解するために, 黒人知識人ラルフ・エリスンに送った私信に注目する. これらの分析を通して, アーレントが「リトルロック事件」に何を見出し, 何を訴えようとしたのかを明らかにする.

収録刊行物

  • 人間・環境学

    人間・環境学 26 155-170, 2017-12-20

    京都大学大学院人間・環境学研究科

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