糖尿病合併症において血管平滑筋細胞機能に影響する因子

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  • トウニョウビョウ ガッペイショウ ニ オイテ ケッカン ヘイカツキン サイボウ キノウ ニ エイキョウ スル インシ

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抄録

糖尿病患者数は世界中で3億6000万人にのぼるとされ、特にインスリン非依存性糖尿病(non-insulin dependent diabetic mellitus;NIDDM)患者の増加が問題視されている。このNIDDM患者にとって血糖値コントロールに加えて糖尿病合併症対策が必須であることが広く認識されている。糖尿病の神経障害、網膜症、腎症などの主要な合併症の発症に関しては、それぞれの組織を走行する微小な抵抗血管の機能異常が深く関与していることが示唆されている。この血管機能異常に関しては、血管内腔を覆う内皮細胞(endothelial cells;EC)に関する検討が先行しており、糖尿病病態下におけるEC由来血管弛緩因子(一酸化窒素および内皮依存性過分極因子)の機能低下が一因であるとされている。この機能低下が、血管の持続的な過収縮状態を引き起こすとされている。一方、血管トーヌスの発生・維持に関与する血管平滑筋細胞に関しては、糖尿病による直接的な影響を受けることが予想されており、それはECを除去した平滑筋標本の収縮応答が糖尿病病態下で変化するとの知見から裏付けられている。しかしながら、その詳細については不明な点が多く残されている。本総説では、糖尿病病態下において変化する因子として(1)EC機能、(2)glucose濃度、(3)insulin濃度、(4)adiponectin、(5)血管周辺脂肪組織由来の因子、および(6)細胞増殖因子を取り上げ、これら因子が血管平滑筋細胞にどのように影響し、合併症発症に関与するかについて概説する。(著者抄録)

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