青年期におけるパーソナリティの安定性と変化に関する一考察:人生の転機を経験した者の自伝を用いた検討の試み

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青年期は可塑性に富み、パーソナリティも大きく変わりやすいと言われる。これまでの、質問紙性格検査を用いた大量データに基づく調査では、パーソナリティが変化しないものがある程度いる一方で、変化したものもいることが分かっている。しかし、個々の人間がどのようにしてパーソナリティを変化させた(あるいは変化させなかったのか)については明らかでない。そこで、人生の転機(非行からの立ち直り)を経験した者による自伝を用いた検討により、パーソナリティの安定性と変化についての考察を行った。転機の前もあとも、外向性といった基本的なパーソナリティ特性には変化がなかった。また、職業人として自立していく過程で、誠実性を高めていたことがうかがえた。以上のことから、人生の転機を得た者でも、パーソナリティが劇的に変化するわけではなく、ある程度の安定性を保ちつつ、一部の特性が望ましい方向に変化することがうかがえた。

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