東京都練馬区におけるブルーベリー観光農園の立地とその現状

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タイトル別名
  • トウキョウト ネリマク ニ オケル ブルーベリー カンコウ ノウエン ノ リッチ ト ソノ ゲンジョウ
  • Development of blueberry picking gardens as a tourist farm in Nerima Ward, Tokyo

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抄録

都市部における農地が減少する中で,近年,農地には余暇活動機能が付与されつつある。本研究では,市街化区域に指定されている東京都練馬区に立地するブルーベリー摘み取り園を対象にして,都市内観光農園の存立背景や経営の実態について考察した。営業農家には,都市農業に特徴的な不動産と農業の複合経営がみられる。各摘み取り園の開園理由は,「地域との交流」,「労力削減」等が多い。都市農業においては,近隣の住民が畑に入る機会は少なく,摘み取り園を通して交流の機会を設けることは,近隣住民の都市農業に対する理解を得るための方法である。農園の来園者は,練馬区民を中心に近隣居住者が主である。また,低めの樹高や摘み取り方などの果樹の特性上,幅広い層の来園者が摘み取りを楽しむことができる。この摘み取り園は,遠方に出かけることが多い「観光」より,市民農園・区民農園のような近隣での余暇活動の要素が強く,都市生活に密着した余暇活動機能のひとつとしてとらえることができる。また摘み取り園は,生産緑地として指定された農地に多く存在しており,農地維持の役割も担っている。経営農家は複合経営で成り立っている場合が多いが,個々の農家の事情が異なるからこそ,営業や加工した商品の開発等を産地としてまとまって行なうことが必要となる。個々の農家の枠を越えてまとまることで,営業にも幅を持たせることができ,都市農業に対するより多くの住民理解を得ることが可能になるであろう。

収録刊行物

  • 観光科学研究

    観光科学研究 (3), 155-168, 2010-03-30

    首都大学東京 大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻 観光科学専修

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