性分化疾患であるMRKHロキタンスキー症候群への心理的支援のあり方

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タイトル別名
  • Psychosocial intervention for people with Mayer-Rokitansky-Küster-Hauser Syndrome(MRKH), a form of disorders of sex development(DSDs)

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説明

メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群(以下ロキタンスキー症候群と略記)は性分化疾患の一つで,先天的な膣の一部もしくは全欠損,及び,子宮欠損の疾患である。ロキタンスキー症候群の女性は,乳房の発育,また卵巣の働きは通常と同じであるが,初潮を迎えず,多くの場合,思春期で診断を受けることを特徴とする。1961年に生まれた疾患名であり,ロキタンスキー症候群研究の礎を作った4人の研究者の名前から命名された。性分化疾患の中でも特徴的なのは,診断後,特に必須となる治療がないことである。従って,医療機関とのつながりが失われやすいという特徴がある。卵巣を有するものの子宮のないロキタンスキー症候群女性において,日本国内で自分の卵子を用いた子を持つという選択肢は事実上存在しないが,近年,代理出産や子宮移植などの生殖医療の対象者としてロキタンスキー症候群の名前があがっている。身体医学の進展の一方,心理社会的観点からは未だ彼女たちの実態については把握できていない。その心理的支援の必要性について考えると,ロキタンスキー症候群は,’気づかれない’疾患であるため周囲の人たちと感情や状況をシェアしづらいこと,診断後に孤立しやすいため当事者が手にする情報量も少ないであろうことが想定され,当事者はもちろん養育者も心理的問題を抱え込みやすいであろうことなどがあげられる。従って,ロキタンスキー症候群に特有な心理的状態を検討し,長期的な追跡研究も視野に入れた心理的介入の検証をしていくべきである。

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