カキ“平核無"の生育と結果に関する研究 (2) : がくに関する組織学的観察

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タイトル別名
  • カキ″平核無″の生育と結果に関する研究-2-がくに関する組織学的観察
  • カキ ヒラタネナシ ノ セイイク ト ケッカ ニカンスルケンキュウ 2 ガク

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抄録

論文(Article)

【摘要(抄)】本研究はカキ‘平核無'のがくの組織形態を分化期から成熟期まで経時的に観察しその組織構造を明らかにすると共に,あわせて葉,苞葉などの組織形態及び二,三作物のがくの組織形態についても観察を行い,カキのがくの持つ役割について検討したものである.1カキのがくは花芽分化期に分化し,越冬,萌芽後,花器の発育と共に急速に発育し,がく片は7月上~中旬,がくの台座部分は8月中~下旬頃に発育を停止した.2.がくの表皮系は表皮細胞,毛,気孔からなり,葉や苞葉と似ている.がくの表皮細胞にはクチクラが認められたが,その厚さは上表皮細胞の方が下表皮細胞より厚く,上表皮細胞には6月中旬頃からsafranineによって強く染色される物質の集積が認められた.がく表面に発生する毛には剛毛型と腺毛型の2種があり,何れも下面にその発生が多く,腺毛の先端部はがくの発育が進むにつれて赤色を呈した.がく片及び座の表面には多数の気孔が認められた.気孔はがくの上下両面に分布し上面の分布数がわずかに多かったが,それらを合計しても葉の気孔分布数の1/4~1/5程度であった.葉や苞葉の表皮系はがくの表皮系と類似しており,ちがう所は,上面に気孔の分布がみられない点であった.3.がく片の内部組織は,同化組織に柵状組織の分化が認められない点で葉の内部組織と著しく異なっている.しかし表皮組織や基本組織の多くの点でがく片は葉に類似しがく片の営む呼吸,蒸散作用が,果実の呼吸代謝,水分生理などに重要な役割を果たしているものと思われた.

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