閉鎖したスギ林における施肥効果 : 個体の大きさと幹の生長経過

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タイトル別名
  • An Effect of Fertilization on Stem Growth in a dense Cryptomeria Stand, Relation between Growth Pattern and Stem Size
  • ヘイサシタ スギバヤシ ニ オケル セヒ コウカ コタイ ノ オオキサ ト ミ

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抄録

林地施肥の効果が, 閉鎖した森林内において個体の大きさによってどのように変わるかを調べるため, ステージの異なる2時点で施肥した22年生スギ林から, 57本の幹を伐倒し, それらの生長経過を調べた。その結果, 次の諸点が明らかにされた。1) 幹の生長経過に現われた施肥効果は, 個体の大きさによって著しく異なる。大きな個体では, 施肥効果は不明確であり, 生長速度が単調に増加する傾向にあった。大きな個体のこの傾向は, このスギ林がまだ若いステージにあるためと思われた。2) 施肥効果が最も端的に現われた個体は, 平均樹高以下のやや小さな個体であった。これらの個体を樹高の大きい順位からみると60 - 80%程度の個体に相当した (図5)。3) 下層を占める個体では, その生長経過に施肥の影響が現われない。最下層の個体の生長速度は, 上層木の速度の大きさと逆の対応を示し, 上層木の生長速度が低下した時点で大きな値を示した。下層の個体の生長経過は, 施肥の効果より, 光条件の影響が大きいと推測された。4) 閉鎖した森林の施肥効果を, それぞれの個体の生長経過だけから調べる方法には無理があり, この効果を調べるためには林分全体の生長経過から検討する必要のあることを指摘した。

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