台湾における水資源特性と水需要構造
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- タイワン ニ オケル ミズ シゲン トクセイ ト ミズ ジュヨウ コウゾウ
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説明
1.台湾は,地勢は山地・丘陵が多く,年平均降雨量は2,510mmと豊富であるが,地域的分布は不均等である.また年間及び季節的に分布が偏り,5月から10月までが雨季で年降雨量の78%がこの時期に集中しているのに対し,11月から翌年4月までは乾燥期である. 2.台湾の河川は短くかつ急勾配で,降雨は短時間で海に流出し,かつ豊水と渇水流量比が高く,雨季に河川の泥砂量が多くなることから,利水には不利な状況にある.特に,南部地区は最も不利な状況の区域である.河川の安定利用可能量は年に134億m3で,地下水の利用可能量は40億m3が限度である.従って,台湾は通年作地帯にありながら,乾燥期の水利用は特に厳しい状況にあるといえる. 3.台湾は人口が多く,経済の発展が著しく,近時は農業と工業の水需要量が多くなっている.現在の総用水量は179.91億m3(1983年)で水源の新規開発は限界に近づきつつあり,水資源開発にはダム建設が必須の条件となっている.しかしながら,ダム水源開発コストは1971年から年に5%増加しており,限られた水資源に対する経済的な有効利用が特に重要視されてきている. 4.2000年に台湾の総水需要量は195.89億m3に達し,1983~2000年の17年間には15.89億m3の水量が増加(年間0.94億m3)すると予想される.将来の用水需要の増加は全部が生活用水と工業用水関係であり,水源はダム建設に依存する.農業用水の成長量は見込めず,既存農業用水総量の中で農業構造の調整に対応した用水量の調整配水が必要となる.畑作潅漑の用水量は,水稲潅漑用水量を減少・調整することにより,十分賄えると期待される. 5.将来の水需給構造の分析によって,東部地区は問題が無いのに対し,西部地区は若干問題があり,特に南部地区は最も問題が大きく,ダムの建設が極めて必要であり,さらに節水利用も同時に重視しなければならない.将来の水需要の資源確保のためには,現存水質の汚濁,地下水の過度の揚水による地盤沈下,乾季における度々の渇水,ダムの滞砂等の問題に対し,技術と行政の両面からそれらの対策を研究しなければならない。
収録刊行物
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- 岡山大學農學部學術報告 = Scientific report of the Faculty of Agriculture, Okayama University
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岡山大學農學部學術報告 = Scientific report of the Faculty of Agriculture, Okayama University (72), 51-61, 1988-10
岡山大学農学部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050282813591100672
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- NII論文ID
- 110000130270
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- NII書誌ID
- AN00033029
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- ISSN
- 04740254
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- NDL書誌ID
- 3224355
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
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