道北地方の蛇紋岩地帯における天然更新技術

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  • ドウホク チホウ ノ ジャモンガン チタイ ニ オケル テンネン コウシン ギジュツ

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抄録

北海道北部内陸の豪雪地帯に位置し,林床のササと蛇紋岩土壌が天然更新の阻害要因となっている音威子府村物満内地区において,森林の更新を促進するための基礎的な研究を行った。蛇紋岩地帯におけるかき起こし後の天然更新による初期侵入状況を調査した結果,ダケカンバ,アカエゾマツ等の実生が更新したが,その成長量は非常に小さく,表土に含まれる炭素量と実生の地上部バイオマスに有意な正の相関がみられた。除草剤散布とかき起こしの組み合わせによる天然更新後の林分成長を調査した結果,強度かき起こしを行った調査区では針葉樹の侵入がみられたものの,林分成長は非常に悪かったのに対し,弱度かき起こしや除草剤のみの区では針葉樹の侵入はみられず,林分成長は一般の土壌と同程度かそれ以上であった。プランターを用いて土壌の違いによる樹木の当年生実生の成長を比較した実験では,腐植を含まない蛇紋岩土壌の処理区において,多くの樹種で顕著な成長量の低下がみられた。また,トドマツとアカエゾマツの樹体内のMg量は,同処理区で顕著に大きかった。これらの結果から,北海道北部の蛇紋岩地帯における樹木の天然更新には,土壌の腐植が非常に重要な役割を果たすことが明らかとなった。

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