沖縄におけるイタジイ優占の常緑広葉樹林の萌芽更新(2) : 萌芽の位置と成長

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  • Characteristics of sprout natural regeneration of evergreen broad-leaved forest dominated by Castanopsis sieboldii in Okinawa(2)Sprout position and growth

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抄録

本論文は亜熱帯照葉樹林地帯において、森林の循環利用のための人為干渉跡地の天然更新とくに萌芽更新システムに関する研究の一環をなす。天然林皆伐地5年後の根株に発生した萌芽枝の位置と成長に関する研究が、沖縄島北部に位置する琉球大学農学部附属与那演習林のイタジイの優占する常緑広葉樹林で実施された。萌芽枝の15.8%は根株の上部に、84.2%は下部に位置するものであった。これはほとんどの萌芽枝が根株の上部よりも下部に発生することを示している。萌芽位置は樹種によって異なる特性をもち、62種のうち、16種は下部に位置する萌芽枝のみであった。相対的に、1種は上部に位置する萌芽枝のみが見られ、2種は萌芽枝のない枯死根株で、43種は上部だけでなく下部に位置する萌芽枝も形成した。ほとんどの樹種は下部に発生したが、7種は、上部に位置する萌芽枝が下部のそれより平均胸高直径と平均樹高とも明らかにより高い値を示した。根株の胸高直径の大きさと萌芽成長に関して、萌芽林の平均胸高直径と平均樹高の解析から胸高直径で3区分できることが認められた。これは萌芽更新に際して伐採前に適切な胸高直径の立木が存在することを指示しているもので、実験地では萌芽更新のための立木の適切な胸高直径は10.0~25.5cmであった。伐採前の立木の胸高直径や樹種による萌芽の特性を知ることは、天然更新施業法における素材生産と多様な森林生物の保全の調和を基調とする萌芽更新システムに関して重要な指針を提示する。

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