石灰硫黄合剤を用いないブドウ黒とう病の発芽前薬剤防除法

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  • セッカイ イオウ ゴウザイ オ モチイナイ ブドウ コクトウビョウ ノ ハツガゼン ヤクザイ ボウジョホウ

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説明

都市化の進展したブドウ産地では、発芽前防除における石灰硫黄合剤の使用が困難になっている。このため、石灰硫黄合剤を混用しなくても、黒とう病に対し高い防除効果の得られる薬剤の選定を試みた。 石灰硫黄合剤は、それ自体では黒とう病に対する防除効果は低いが、ベノミル水和剤に混用することにより、ベノミル水和剤の防除効果を高める補助剤的な効果が確認された。また、チアベンダゾール・有機銅水和剤との混用でも同様の効果が認められた。 各種薬剤を単用で散布した場合の防除効果を比較した結果、最も防除効果の高かった薬剤はジチアノン水和剤で、チアベンダゾール・有機銅水和剤がこれに次いだ。ジチアノン水和剤は、チアベンダゾール・有機銅水和剤と石灰硫黄合剤の混用と比較しても、ほぼ同等の防除効果があった。チアベンダゾール・有機銅水和剤とマシン油乳剤を混用すると、チアベンダゾール・有機銅水和剤単用と比較して防除効果が向上した。 発芽前の薬剤防除は、初発期の発病を抑制するだけでなく、生育中期の発病にも影響を及ぼし、生育期の薬剤防除効果を高めた。このような効果は、発芽前散布剤としてジチアノン水和剤を用いた場合でも、ベノミル水和剤と石灰硫黄合剤混用の場合でも同様に認められた。 以上の結果から、石灰硫黄合剤を用いない発芽前防除薬剤としては、ジチアノン水和剤が最も有望と思われた。

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