玄米及び数種の穀類中への無機養分及び重金属の集積様式

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  • ゲンマイ オヨビ スウシュ ノ コクルイチュウ エ ノ ムキ ヨウブン オヨビ

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水稲玄米、大麦の登熟に伴う穀粒への養分、重金属の集積について、通常なされている穀粒中の濃度ではなく、穀粒1粒あたりの含量で検討した。 養分集積については、水稲玄米の集積パターンはおおむね2つのグループにわけられた。即ちN、P、Mgは登熟の初期から後期まで、粒重の増加にほぼ比例して1粒あたりの含有量が増加し、これらの養分は登熟の後期まで穀粒への養分集積が継続した。これに対し、水稲玄米のK、Caは登熟の初期は粒重とともに増加するが、登熟の早い時期に粒重とは無関係に一定の含有量となり、これらの養分は登熟の早い時期に穀粒への集積が完了した。しかし大麦では、N、P、Mgに加えKについても、粒重増加にほぼ比例して1粒あたりの含有量は増加し、K集積については大麦と水稲玄米で作物種間差が認められた。 重金属集積についてはCd、Zn、Cu、Feは、水稲玄米、大麦とも粒重の増加にほぼ比例して1粒当たりの含有量は増加したが、水稲玄米のMnは水稲玄米のKにやや類似した集積パターンを示した。また水稲玄米のCd、Mn、Feについては1穂のなかの籾の着生位置による含有量の変動が認められた。 1粒当たりの含量が粒重とともに増加する養分間には、1粒含有量間に相関が認められたが、特にPとMgの相関は極めて高かった。回帰直線の傾きから計算すると、水稲玄米ではP2原子に対しMg1原子のモル比を保ちながら、大麦ではP5原子に対しMg2原子のモル比を保ちながら穀粒に集積すると考えられ、モル比には作物種間差が認められた。しかしこのモル比の品種間差はないと考えられた。 水稲玄米のPとMgモル比は整数比2:1であるが、搗精歩合とともにPの割合が連続的に高まった。登熟過程ではPとMgはモル比を整数比に保ちながら集積するが、玄米に到達した後は、これら養分は玄米内部で再配分されると考えられた。

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