湛水直播栽培した水稲タカナリの乾物生産特性
Bibliographic Information
- Other Title
-
- 慣行移植栽培した水稲との比較
Search this article
Abstract
湛水直播栽培した水稲の乾物生産特性を検討するために、湛水直播栽培しても倒伏しにくいタカナリを用いて1999~2001年の3年間にわたって湛水直播栽培し、乾物生産とこれに関係する要因を慣行移植栽培した水稲と比較した。湛水直播水稲は1999年には散播湛水直播、2000、2001年には代かき後落水して点播(1株1本)し、株密度はそれぞれ42.0、51.3、51.3株m-2であった。慣行移植水稲の株密度は1999、2000年には22.2株m-2、2001年には17.5株m-2でいずれも1株3本であった。湛水直播水稲は、3ヶ年とも慣行移植水稲に比較して単位面積当たり穂数が多く、穎花数が著しく多いにもかかわらず、乾物生産量が多いことによって登熟歩合、千粒重は低下せず、その結果、子実収量が高かった。湛水直播水稲の乾物生産量が多くなったのは、ほぼ全生育期間を通じて個体群生長速度(CGR)が大きいことによっていた。湛水直播水稲のCGRが大きかった要因として、1)生育初期は茎数の増加が大きいことによって、葉面積指数(LAI)の増加が大きくなって、個体群の受光率が大きくなったこと、そして2)幼穂形成期以後はLAIが大きいこととそれにもかかわらず、葉身がより直立し吸光計数が小さいことによって、純同化率が低下しなかったことがあげられた。さらに、湛水直播水稲は冠根数が多く、生育初期から出穂期までの間、および登熟期間中の窒素蓄積量が多く、登熟期の下位葉の緑色程度を高く維持しており、このことも乾物生産の高いことに関係している可能性が考えられた。
identifier:660954
identifier:ZZ00014890
Journal
-
- 日本作物學會紀事
-
日本作物學會紀事 71 (3), 317-327, 2002-09
日本作物學會