イネ(Oryza sativa L.)のアレロパシーは水田雑草の制御に有効か?

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  • イネ Oryza sativa L ノ アレロパシー ワ スイデン ザッソウ ノ セイギョ ニ ユウコウ カ

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抄録

環境調和型農業を目指す取り組みにおいて、アレロパシー(他感作用)、すなわち植物自身から放出あるいは滲出する化学物質が周囲の植物に対して何らかの影響を及ぼす現象を利用し、有効な雑草制御技術の開発が求められている。イネのアレロパシーに関する研究は、1980年代後半に開始され、現在までアメリカ、国際イネ研究所(IRRI)および日本を中心に、世界各国でその作用解明を目的に取り組まれてきた。そして圃場実験あるいは実験室規模の生物検定により、水田雑草の発生、生育を抑制するイネ品種あるいは系統が見つかり、またそれら植物体中から抽出された化学物資の同定あるいはアレロパシーに関与する遺伝子の解析等がなされているが、作用の解明にはまだ不十分である。とくに圃場実験での結果と比較可能であり、アレロパシー活性の品種間差異を明確に確認するための実験室規模での生物検定法の確立、それに使用する検定用植物の選定、またそれら植物に対するアレロパシー活性の評価方法について、これまでの研究結果に基づいた再検討が必要である。さらに、水田雑草に対する他感物質(アレロケミカル)の影響、水田環境中におけるそれらの雑草制御への寄与率あるいは水田土壌中における動態について、今後明確にする必要がある。

収録刊行物

  • Coastal bioenvironment

    Coastal bioenvironment 1 43-54, 2003-07

    唐津 : 佐賀大学海浜台地生物環境研究センター

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