マラウィにおける食糧増産を目的とした小農的作付け体系に関する一考察 : サンガチ地区を中心に

抄録

マラウィの農業は大農と小農に分けられる。前者は輸出用作物生産に特化し、後者は自給農業で大多数の国民の食糧を供給する。小農は依然として一期作を中心とした生産性の低い粗放的農業を行っている。ゆえに、近年小農において食糧確保が問題となっている。上記の研究課題を念頭にサンガチ農業区の実態調査を踏まえた事例分析を行ったところ、同地区においては1ha未満の農家は自らの食糧を確保できていないことが判明した。彼らの農業生産を取り巻く環境をそのまま放置しておけばこの現状は悪化する一方だと思われる。以上のことを踏まえ、本研究では小農の食糧生産事情を改善しその自給度を増大させるため、二毛作農業の体系とその可能性について検討した。その際、現地の農業環境、従来の農業、作物・作付けとの連続性ならびに農民の社会経済的状況、肥料・種子等の投入材の購買力、食糧のニーズ等の関係について検討した。その結果、農民的生産要素、農地、家族労働、伝統的知識を最大に活用しうる在来品種のトウモロコシとキャッサヴァの二毛作を軸にした農業が無理なく低コストで小農の食糧の自給度を高めることができることが明らかになった。このような農業を普及させるのがマラウィ農業の今後の課題となる。

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