三重県における里山の分布と植生 : 土地分類図と各種の基準地域メッシュデータを用いた解析

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  • ミエケン ニ オケル サトヤマ ノ ブンプ ト ショクセイ トチ ブンルイズ ト カクシュ ノ キジュン チイキ メッシュデータ オ モチイタ カイセキ

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抄録

里山を保全していくためには,里山の分布やその植生について現況を明らかにする必要がある。本研究では三重県内の里山の分布,里山を構成する群落型とその分布を明らかにすることを目的として土地利用図と各種の基準地域メッシュ図を用いた解析を行った。里地は県北中部の伊勢平野や伊賀盆地を中心に分布しており,三重県全域5,499メッシュのうち2,404メッシュが里地であった。そのうち里山は1,115メッシュで,三重県全体の20.3%を占めていた。里地内の里山と里の分布形態には差異がみられ,里山と里の区分については標高,傾斜の地形要因が大きく影響しており,標高50m以下,傾斜2.5°以下の箇所では里の割合が顕著に高かった。このような箇所に残存する里山には多様な群落がみられたが,開発の危険にもさらされているため早急に生態的特性を明らかにし,保全・管理策を検討する必要がある。里山を構成する群落形ではスギ・ヒノキ植林,アカマツ植林,アカマツ群落の割合が高く,里山の80%近くがそれらにより占められていた。また,県内の各地域には気象,地形要因に応じた群落形の分布がみられた。主要な自然成立群落型であるアカマツ群落,シイ・カシ萌芽林,クヌギ-コナラ群落の分布の相違はおおまかには暖かさの指数と年間降水量の気象要因に影響を受けていたが,人為攪乱の影響や地質,土壌など立地要因の影響も大きいものと考えられた。

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