トドマツ間伐試験地の74年間の成長経過

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タイトル別名
  • トドマツ カンバツ シケンチ ノ 74ネンカン ノ セイチョウ ケイカ

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1948年(林齢20年生時)に北海道東部の道有林池田経営区(現十勝管理区)に設定された「久保トドマツ人工林間伐試験地」は、設定後5年ごとに50年間、胸高直径(全木)と樹高(サンプル木)が測定されてきた。試験設計は、無間伐(0.1812ha)と2回間伐(0.101ha)、3回間伐(0.101ha)、6回間伐(0.2ha)である。林齢74年生時に無間伐区を中心に台風による大きな被害を受けた。被害直後に間伐試験地の全個体の胸高直径と樹高を測定するとともに被害形態などを調査し、これまでの資料と併せて74年間の成長経過を分析した。林齢20年生以後74年生までの54年間の枯死木は、無間伐区が最も多く、間伐回数が増えるにしたがって枯死木の数は減少した。無間伐区では、期首の直径が小さかった個体を中心に期首本数の75%以上が枯死した。胸高直径45cm以上の個体は6回間伐区にのみ出現し、40cm以上の個体も間伐回数が多い処理区ほど多数出現するなど、間伐による直径成長の促進効果が認められた。林分成長量は林齢40年生時にピークがあり、以後、漸減傾向を示した。無間伐区の台風による被害木数は、間伐を行った3区よりも有意に多かった。被害形態では、風害木の80%以上が根返りであった。根返り木の倒れた方向は、間伐回数や胸高直径と関係なく、南東の強風に対応して北から西であった。耐風性の指標に用いられる形状比や枯れ上がり高率は無間伐区で高かったが、区内の風害木の発生は形状比や枯れ上がり高率と無関係であった。

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