生後発育に伴うウシ精巣のα-SMAおよびvimeninの免疫組織化学的局在

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抄録

生後の発育過程におけるウシ精巣内のα-SMAとvimeninの免疫組織化学的局在を検討した。精巣の曲精細管や直精細管および精巣網周囲の筋様細胞と直精細管や精巣網の間を占める間質においてはα-SMAは生後4か月頃から発現することを認めた。曲精細管周囲の筋様細胞におけるα-SMAは5か月頃には成熟パターンに到達したが、直精細管や精巣網周囲の筋様細胞や間質の細胞では発育とともに増加した。Vimeninは、セルトリ細胞の核周囲、精細管周囲や血管の壁の細胞、少数の間質の細胞、直精細管と精巣網の上皮基底部での局在が認められた。発育に伴うvimeninの変化はセルトリ細胞においてのみ明瞭で、出生時にはセルトリ細胞の核基底部での発現は僅かであったが、4か月まで次第に増加していった。5-8か月頃の精巣では、セルトリ細胞の核が基底部から離れるといった形態的変化が認められるようになる。この時期には、vimeninに対する染色強度の顕著な増加が見られるとともに、セルトリ細胞の核から基底部にかけての特徴的なvimeninの伸張も確認された。しかし、この伸張は、核が基底部に再配置される9か月頃では、その形態的変化にあわせて短くなった。これらの結果から、α-SMAの発現は精子形成の開始と相関があり、vimeninはセルトリ細胞の形態変化に伴う核の安定性にとって重要な役割を担っているものと思われた。

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