有明海奥部西岸域における鉛直拡散係数及び酸素消費速度の推定

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  • Estimation of vertical diffusion coefficient and oxygen consumption rate in the interior western parts of Ariake Sea

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本研究では、有明海奥部で頻発する貧酸素水塊の発生メカニズムを明らかにするために、2005年夏季に種々の現地観測を行うと同時に、1972-2000年の浅海定線調査データを用いて2層ボックスモデルによる奥部西岸域の鉛直拡散係数及び酸素消費速度の解析が行われた。2005年7月23日-8月17日における底層DOの時間的変動は、潮位や流速以外に台風や強風による海水の撹拌や沖合域からの貧酸素水塊の移流に大きく左右された。また、2005年8月16日の現地観測より、貧酸素水塊の発生時において西岸域の混合状態は弱混合となり、水深3-5m付近に顕著な密度成層さらには密度躍層の形成が見られた。水温成層モデルより得られた鉛直拡散係数と成層強度との間には関連性が見られ、鉛直拡散係数は成層強度の増加に伴って指数関数的に減少した。このことから、海水の密度成層の発達は、表層から下層へのO2、の供給能力を制限するものと考えられた。1972-2000年の浅海定線調査データより、有明海奥部西岸域における表底密度差や成層強度の季節変動が明らかにされた。すなわち、夏季では淡水流入量の増加や海面加熱により表底密度差が上昇し、成層強度は増大した。一方、冬季では淡水流入量の減少や海面冷却により表底密度差は低下し、成層強度は減少した。また、2層ボックスモデルにより奥部西岸域における鉛直拡散係数及び酸素消費速度が解析された。その結果、鉛直拡散係数の季節変動は成層強度のそれと密接に関連し、夏季-秋季に減少し、冬季-春季に増加する変動傾向を示した。また、酸素消費速度は春季-夏季に正(O2消費)、秋季-冬季に負(O2生産)となる季節変動を示した。

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