水稲新品種‘さつま雪もち'の育成とその特性

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  • スイトウ シンヒンシュ サツマ ユキ モチ ノ イクセイ ト ソノ トクセイ

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抄録

水稲新品種‘さつま雪もち’は、鹿児島県農業試験場において、晩生、耐倒伏性強、脱粒性難の良質糯を目標に、脱粒性難で多収の‘峰の雪もち’を母本とし、晩生で良食味の‘KG糯102’(のちの‘さつま白もち’)を父本として1998年に交配を行った組合せから選抜し、普通期栽培用晩生の耐倒伏性強の良質糯品種として育成した。2006年1月に鹿児島県の奨励品種に採用され、2006年3月に品種登録を申請した。‘さつま雪もち’は、‘さつま白もち’と比較して出穂期で1日、成熟期で1日遅い「晩生の晩」に属する。稈長は‘さつま白もち’に比べて約8cm短く、倒伏に強い。穂長はやや長く、穂数はやや多く、収量は‘さつま白もち’より多く、‘クスタマモチ’と同程度で収量性が高い。草型は「偏穂数型」で、耐倒伏性は「強」である。ふ先色は「紫」、頴色は「黄白」、護頴色を有し、粳種との識別が容易である。脱粒性は‘クスタマモチ’の「易」、‘さつま白もち’の「中」に比べて脱粒しにくい「難」である。つき餅は、‘さつま白もち’と同様に白く、きめ(餅肌)が細かく、のびが良く、良食味である。餅の硬化速度は‘さつま白もち’よりさらに遅く、冷めても固くなりにくい特性を有するため、大福餅などの菓子原料用にも適し、地域の特産品などの加工原料としての需要拡大も期待される。

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