石狩浜の海岸植生衰退と砂の移動量との関係

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  • イシカリハマ ノ カイガン ショクセイ スイタイ ト スナ ノ イドウリョウ トノ カンケイ

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北海道石狩浜において、2000年から2006年までの7年間にわたり、出現植物種とその被度を追跡調査した。優占種であった海岸植物のハマニンニクの被度が減少し、ハマハタザオや牧草であるカモガヤの被度が増加したが、その後内陸性のススキの被度が年々増加して優占種となった。内陸性の植物が増加し海岸植物が衰退していることが示された。その重要な要因の一つとして、砂の移動量に着目し、植物分布との関係を調査した。その結果、砂の移動量が比較的多く不安定な区域には、ハマニンニクやコウボウムギなどの海岸植物が分布していた。砂の移動量が比較的少なく安定した区域では、ハマナスなどの海岸植物の他、ススキ、チャシバスゲ、牧草のナガハグサなどの内陸性の植物が多く分布していた。また、これら2区域の間に位置する半安定的な区域には、ハマハタザオやハマヒルガオなどの海岸植物に加え、牧草のカモガヤが多くみられた。このように植物の分布は、砂の移動量に応じて変化していた。植生の経年変化は、砂の移動量と植物分布との関係に対応していると考えられ、石狩浜の海岸植生衰退は、砂の移動量の減少によってもたらされていると推察される。

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