大豆タンパク質の遺伝的改良に関する研究

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  • ダイズ タンパクシツ ノ イデンテキ カイリョウ ニ カンスル ケンキュウ

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大豆食品の青臭みは大豆の用途を豆腐などの伝統的食品に限定する要因の一つである。大豆の新たな用途開発に資するために、青臭みの主要因であるリポキシゲナーゼを完全に欠失した品種の育成を行った。「関系2号(L-1・L-3欠失)」と「関系1号(L-2・L-3欠失)」の交配後代にγ線を照射した系統から、種子リポキシゲナーゼを完全に欠失した系統(後の「いちひめ」)を見いだし、この系統が正常に生育し、農業特性が普通大豆と変わらないことを明らかにした。またリポキシゲナーゼ完全欠失系統が普通品種に比較して、豆乳や豆乳デザートヘの加工適性に優れていることを示した。完全欠失系統の遺伝解析から、L-1・L-2間には強連鎖が存在し、完全欠失性が見かけ上L-1・L-2欠失及びL-3欠失の2遺伝子支配であることを明らかにした。一方、カロテン退色反応を利用した簡易選抜法やDNAマーカーを利用した選抜法により完全欠失系統を選抜できることを示した。また大豆の貯蔵タンパク質を改変して新たな用途開発に資するため、大豆の野生種であるツルマメからβ-コングリシニン(7S)を欠失したQT2系統を見いだした。大豆との交雑試験からこの系統が持つ7S欠失性は単一の優性遺伝子(Scg-1)により支配されることを明らかにした。QT2系統や大豆に戻し交雑を行った系統の解析から、Scg-1による7S欠失系統でも正常型とタンパク質含有量が変わらないことから、11Sの増加により7Sの減少分が補われていると考えられた。

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