ニワトリ卵胞顆粒膜におけるプラスミノーゲン・アクチベーター活性と小卵胞の急速成長相への転移との関係

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  • ニワトリ ランホウ カリュウ マク ニ オケル プラスミノーゲン アクチベーター カッセイ ト ショウランホウ ノ キュウソク セイチョウソウ エ ノ テンイ ト ノ カンケイ

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抄録

ニワトリにおいて、小卵胞の急速成長相への転移にエストラジオール17β(E2)の関与が報告されているが、細胞外マトリックスの再構築に関与することが知られているプラスミノーゲン・アクチベーター(PA)の関与については未だ十分には検討されていない。そこで、本実験では顆粒層細胞で合成されるPAが急速成長相への転移に関与するか否かを検討した。本実験では、最大卵胞(F1)の排卵18時間前に相当する時期に、白色レグホーン種産卵鶏から、大きさが9番目の卵胞(F9)からF1までの卵胞を採取した。卵胞の重量測定後、卵胞膜と顆粒膜を単離し、卵胞膜におけるE2濃度をラジオイムノアッセイで、顆粒膜におけるPA活性を色素基質を用いる方法で、DNAをジフェニルアミンの変法で測定した。さらに、別の個体から同様に採取した卵胞から組織切片を作成し、卵胞組織を観察した。卵胞重量はF6からF5にかけて有意に増加し、その後はほぼ直線的に増加した。卵胞重量増加量を卵胞表面積で除して算出した物質移動率は、F6からF5にかけて有意に増加し、F5からF4にかけてピークを示した後、その後は卵胞の発育に従い減少した。PA活性とE2濃度は、共にF8からF7にかけて有意に増加し、F7において最も高い値を示した後、卵胞の発育に従い減少した。顆粒膜のDNA含量はF9からF5にかけて徐々に増加した後、その後はほぼ一定で推移した。顆粒層細胞層はF9からF7までは3〜4層と密であったが、F6では2〜3層となりF5からF1においては単層であった。これらの結果から、本実験では小卵胞の急速成長相への転移はF6で起こったと推察され、転移直前のF7においてPA活性とE2濃度が共に増加し、しかも最も高い値を示したことから、小卵胞の急速成長相への転移にE2のみならず、顆粒膜におけるPA活性も関与していると示唆された。

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