夏肥,追肥の施用量が桑の再発枝の生長及び収量に及ぼす影響 (2) : 再発枝の伸長生長,枝条の充実,養分貯蔵及び先枯れとの関係

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  • ナツゴエ,ツイヒ ノ セヨウリョウ ガ クワ ノ サイハツ シ ノ セイチョウ

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抄録

夏切桑園の夏肥,追肥割合を異にする施肥と初秋中間伐採後の再発枝の伸長生長,枝条のコルク化の進行,炭水化物の貯蔵,冬期における先枯れの発生との関係を明らかにし,新品種みなみさかりの条桑収穫法改良の補完的資料を得るために本試験を行った。結果の大要は次のとおりである。1.初秋中間伐採後の再発枝は一ノ瀬では10月下旬から11月上旬に伸長を停止し,みなみさかりでは晩秋おそくまで緩やかに伸長し,初霜後に停止した。一ノ瀬では12月の初霜までの枝条の大部分がコルク化したのに対し,みなみさかりでは20%前後の未コルク化部分があった。両品種の伸長成長とコルク化の相違は生態型が異なるためであり,施肥法の違いによる差はなかった。2.枝条先端の枯れ込みは12月中旬頃に始まり,一ノ瀬では全長の2,3%であったが,みなみさかりでは1月下旬から2月上,中旬に先枯れの進行が目立った。先枯れは秋末から初冬の低温接触によるハードニングと密接な関係があると考えられ,ハードニングが十分でない場合には枯れ込みが助長された。3.みなみさかりのコルク化と先枯れ長とは平行的な関係があり,九州中部地区では12月中旬までにコルク化した部分はほぼ枯れ込みがなく,この時期に翌春の先枯れ長が予測できる。4.再発枝をさらに晩々秋期に中間伐採した場合には冬期の枯れ込みは少ないが,秋冷の早い年には枯れ込みが増加した。また,晩秋期の深切りも枯れ込みが増加し,春期の減収を招くことを認めた。5.再発枝の9月から3月までの炭水化物の時期別推移には品種および夏肥と追肥の施肥割合の違いによる差はあまりなかった。でんぷんは9月から10月に増加し,冬期に減少し春の発芽に向い再び増加した。非還元糖はでんぷんとは逆に冬期に増加し,東北地方に比べ1~1.5か月おくれた12月から1月に最高値を示した。還元糖は時期によって変わらなかった。糖の増加がハードニングと関係のあることを認めた。

収録刊行物

  • 蠶絲試驗場彙報

    蠶絲試驗場彙報 (122), 27-42, 1984-10

    つくば : 農林水産省蚕糸試験場

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