宮城県のダイズ主要病害虫のIPM体系に関する研究(3) : フタスジヒメハムシとマメシンクイガの同時紡除

抄録

宮城県において、ダイズはイネに次いで栽培面積が大きい農作物であり、大規模集団転作が近年の主要な栽培様式となっている.このような栽培環境のなかで、フタスジヒメハムシの加害にともなう黒斑粒の発生は子実の品質低下の要因として大きな問題となっている.また、作付4年目以降のダイズでは、フタスジヒメハムシの被害に加え、マメシンクイガによる子実被害によって収量低下が深刻となっている.そこで、フタスジヒメハムシとマメシンクイガを対象とした効率的な防除法を確立するため、両種の同時防除に適した薬剤の探索と防除時期について検討した.フタスジヒメハムシに対しては、供試した薬剤のなかでシペルメトリン乳剤が最も効果が高く、本剤の1回散布は慣行防除のエトフェンプロックス乳剤、MEP乳剤の2回散布と同等の被害抑制効果を示した.また、マメシンクイガに対しては、フタスジヒメハムシと同様、シペルメトリン乳剤の効果が最も高く、慣行防除の2回散布と同等の効果を示した.このシペルメトリン乳剤を用いて防除時期を検討したところ、フタスジヒメハムシとマメシンクイガによる子実被害に対し、子実肥大始期にあたる9月上旬の薬剤散布で高い防除効果が得られた.以上のことから、近年の宮城県における主要な子実害虫であるフタスジヒメハムシとマメシンクイガの両種の被害を抑制するには、9月上旬のシペルメトリン乳剤による茎葉散布が有効であることが明らかになった.

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