群馬県内各湖沼のワカサギ資源の実態と管理法

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  • グンマ ケンナイ カク コショウ ノ ワカサギ シゲン ノ ジッタイ ト カン

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抄録

近年、各釣り場におけるワカサギ資源に年変動があり、不漁年は地元の漁業協同組合や観光業者に与える影響が大きい。そこで、群馬県水産試験場では、1992年からワカサギHypomesus transpacificus nipponensisに関する資源調査を開始し、特に1993年から1995年の3年間は赤城大沼、榛名湖などを対象に放流実態調査、環境調査、稚魚ネット調査、試験漁獲、耳石を用いた日齢・年齢査定および標識放流などを実施し、資源の変動原因を調べた。今回1995年の調査結果を報告するとともに、3年間の調査結果を比較検討した。結果の大要は以下のとおりである。1 ワカサギ資源の年変動原因として、年による卵の付着数や卵質に違いがあり、さらに各湖沼ごとの卵管理に差があること、ふ化直後のワカサギ仔魚が越年群や他の魚類稚魚に捕食されるなどの減耗が示唆された。2 これらの資源変動要因の当面の対策として、危険分散の意味で放流回数と放流卵数を増やすこと(150粒/m2以上)、ふ化直後の被捕食に関しては越年ワカサギの間引き、他の魚類稚魚などがふ化する前の卵放流(放流の早期化)などが考えられた。3 採捕したワカサギの耳石を研磨せずに日齢・年齢査定を試みた結果、光学顕微鏡下で計数可能な一部分を選び、耳石輪紋数と輪紋幅などを計測することで可能であった。また、7月までに採捕した0年魚群は全輪紋数の計数が可能であった。4 標識(アリザリンコンプレキソン)されたワカサギ耳石は榛名湖の0年魚では明確に判別できたが、赤城大沼および榛名湖の1年魚では確認できなかった。実施した一部卵標識法には限界があり、今後の全卵標識放流法が望まれる。

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