体細胞クローン後代牛の生産物性状に関する調査報告書

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タイトル別名
  • Characteristics of milk/meat derived from progeny of somatic cell cloned cattle

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抄録

体細胞クローン後代牛には,乳肉生産のための商業利用に利用できる可能性が指摘されているが,これらの動物が生産した乳肉の生産物性状に関する知見は殆ど得られていなかった。そこで,本研究ではこれらの知見を得るため,体細胞クローン後代牛が生産した乳肉の生産物性状と一般牛で得られた対応データと比較した。まず,後代牛および一般牛が生産した乳肉の一般成分,アミノ酸および脂肪酸を分析した。次に,これらの乳肉を凍結乾燥粉末に加工した後,消化試験(ラット),アレルギー誘発試験(マウス腹壁法試験)および変異原試験(小核試験)を実施した。これらの調査項目において,後代牛と一般牛との間で有意差は認められなかった。さらに,後代牛が生産した乳肉を摂取した場合の慢性毒性を解明するため,ラット(雌雄)を用いた12カ月間の飼育・生殖併合試験を行った。その結果,試験区ラットの各種出データ(動物の一般状態と詳細な臨床観察,体重・飼料摂取量の測定,自発運動量・前後肢握力・感覚反射機能等の機能検査,眼科検査,尿検査,雌の繁殖性と分娩した子ラットの健康状態)と対照区ラット(一般牛由来試験飼料を給与)のデータとの間に生物学的な差異は認められなかった。以上の結果は,体細胞クローン後代牛が生産した乳肉と一般牛が生産した乳肉とが同等であることを示唆している。

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